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2021年第165回、166回『芥川賞』『直木賞』受賞作品をご紹介
【芥川賞受賞作品(新進作家による純文学の中・短編作品)】
第165回 芥川賞受賞作品『貝に続く場所にて』/石沢麻依
!!ネタバレ注意!!
私が住むドイツの町・ゲッティンゲンに、津波で行方不明となっていた野宮の幽霊がやって来た。
野宮は、震災の津波で家族全員がなくなり、家も流され、自身は遺体が見つかっていない行方不明者だった。
そして、その日から私には次々と不思議な出来事が起こり始める。
その幽霊を普通に迎える私は、とうとう野宮の死を受容したということか。
私が出会ったもう1人の日本人・寺田氏は、かつて「月沈原」にいた明治の物理学者・寺田寅彦。
私の周りの女性たちは、キリスト教の聖女の名を持ち、トリュフ犬が掘り出すのは、トリュフではなく、聖女たちを表すアトリビュート。
そんな私は、聖女アポロニア?ここは本当に現世なのか。
そうした奇跡の経験を経て、私は、野宮と向き合うことを決意する・・・。
静謐な祈りをこめて描く鎮魂の物語。
『群像』掲載を単行本化した作品。
第165回 芥川賞受賞作品『彼岸花が咲く島』/李 琴峰
!!ネタバレ注意!!
宇実は島の少女・游娜と少年・拓慈と、この島の深い歴史に導かれていき。
『文學界』掲載を単行本化した作品。
第166回 芥川賞受賞作品『ブラックボックス』/砂川文次
!!ネタバレ注意!!
給料は歩合制で、怪我をすれば働けなくなるかもしれないという不安定な毎日を送っていた。
真っ当に生きたいと願う一方で、うまくいかない事があると怒りを抑える事ができず、そのたびに職を転々としていた。
そんなサクマが、唯一現実を忘れられるのが自転車を走らせている時だった。
「ずっと遠くに行きたかった。今も行きたいと思っている。」
しかし、生活は安定する事なく、同じような毎日が過ぎていく・・・。
そして、そんな日常に飲み込まれ暴力事件を起こし逮捕される。
自らの心を向き合うべき時が来たサクマが見つけた答えとは・・・。
『群像』掲載を単行本化した作品。
【直木賞受賞作品(新進・中堅作家によるエンターテイメント作品)】
第165回 直木賞受賞作品『テスカトリポカ』/佐藤究
!!ネタバレ注意!!
少年コシモは知らぬ間に彼らの犯罪に巻き込まれ…。
『カドブンノベル』掲載に書き下ろしを加えて単行本化した作品。
第165回 直木賞受賞作品『星落ちて、なお』/澤田瞳子
!!ネタバレ注意!!
一門の行末は、娘とよ(暁翠)の双肩にかかっているのだが…。
激動の時代を生き抜いた女絵師の一代記。
『別冊文藝春秋』連載を書籍化した作品。
第166回 直木賞受賞作品『塞王(さいおう)の楯』/澤田瞳子
!!ネタバレ注意!!
戦国時代に城を守る最高の石垣をつくる石工の職人・匡介と、どんなものも打ち破る鉄砲職人・彦九郎の砲との対決を描いた物語。
戦で家族を失った匡介は、石垣職人の穴太衆に育てられる。
もう誰も死なせたくない・・匡介は「最高の楯」となる石垣を作れば戦をなくせると考えていた。
一方、「至高の矛」と名高い鉄砲を作る彦九郎は、どんな城でも攻め落とせる鉄砲こそ、戦の抑止力になると信じていた。
方法は違えど、同じ平和を願う二人は、戦乱の世で敵対することとなる。
大津城を舞台に、信念をかけた職人の対決が幕を開ける。
『小説すばる』連載を単行本化した作品。
第166回 直木賞受賞作品『黒牢城(こくろうじょう)』/米澤穂信
!!ネタバレ注意!!
更に、説得にきた織田方の軍師・黒田官兵衛を地下牢に幽閉してしまう。
そんな中、城内で不可解な事件が発生・・・。
五人もの見張りを付けた、監禁していたはずの人質が殺されたのだった。
一体、誰がどうやって殺害したのか。
解決の糸口がみつけられない村重はなんと、官兵衛に謎を解くよう求めたのだった。
「おぬしならばこの曲事を解ける」村重がその裏に隠すものとは・・・。
そして官兵衛もまた、密かにあることを企てていた。二人の思惑が明らかになった時、たどり着く驚愕な結末とは。『カドブンノベル』他掲載に加筆修正された作品。
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